冷えによって悪化した神経痛

カテゴリー: ヘイセイ鍼灸治療院 | 投稿日: | 投稿者:

鍼灸院に40歳代の男性の患者さんが腰下肢の神経痛を訴え来院されました。
2ヶ月前から右大腿外側に違和感と右足首の屈伸困難の症状が現れて、3日前から右腰殿部から下肢外側に強い痛みを感じるようになりました。どの姿勢でも症状が現れるので、睡眠中も痛みで目が覚めます。後日、MRI検査で腰椎椎間板ヘルニアと診断されました。
話を聞いていくと、もともと腰痛症で仕事ではよく重いものを持つなど腰下肢は疲労していたのと、半年前に左足首を痛めてから右側の負担は増えていたそうです。冷えの自覚がなく、汗もよく出て暑がりだと思っていたそうで冷たい飲食物を好んでいました。

体質判断の情報として、腰殿部に筋緊張、腹部には冷えと筋緊張があり、四肢末端も冷えます、舌は大きく水分は多い、色は青く薄い白苔があり、脈は左側が弱い。以上のことから、この患者さんの体質には『寒湿停滞』があると考えました。
寒湿が体内で滞ると気血循環が妨げられ陽気を損ないます。陽気には全身を温める作用や気血水の循環を促す作用があるので、不足すると手足の冷えや水分代謝の低下などが現れます。水は陰性で停滞することで冷えの原因にもなります。また寒邪が筋脈に停滞すれば筋緊張を強くするので、突然強く神経症状が現れた原因の一つではないかと考えました。

治療は腰部の命門(めいもん)、腰陽関(こしようかん)、大腸兪(だいちょうゆ)、環跳(かんちょう)、下肢の委中(いちゅう)、殷門(いんもん)、陽陵泉(ようりょうせん)など陽気を補い腰下肢の循環を良くするツボを使い鍼と灸を行ったら、夜中の症状は緩和されました。ただ日中はあまり変わりなく、3回目からは腹部の陰交(いんこう)、関元(かんげん)・肓兪(こうゆ)、下肢の足三里(あしさんり)、陰陵泉(いんりょうせん)、三陰交(さんいんこう)、風市(ふうし)、懸鐘(けんしょう)など寒と湿に効くツボ、陽気を補うツボを使い鍼と灸を行いました。全体的に症状が軽くなってくれたのと右足首が少し屈伸できるようになり、日中が動きやすくなったと喜んでくれました。また冷えを自覚してからは冷たい飲食物などは控え、日常生活でも温めるように過ごしてくれているので、以前より冷えが穏やかになっています。
今回のような神経痛の原因は腰部にあるとはっきりしていますが、体質を改善することで症状が緩和できることを改めて実感しました。

ヘイセイ鍼灸治療院  MK