「のぞみの会」の始まりは、高尾武男代表が倉敷中央病院内科医長時代、患者さんやご家族の方々の中で脳卒中や神経疾患などの経験や辛い思いあるいは看護・介護上で参考になることなどをお互いに話し、語り合う内に仲間意識が生まれ、退院後のフォローアップや在宅医療のあり方を学ぼうと自然発生的に結成されたものです。第1回は昭和57年10月に開催されました。その後倉敷平成病院のぞみの会へと発展し、今では当院を利用される全ての方々、地域住民の皆さんと当院スタッフとの交流の場、意見交換の場となっています。
会の内容は、脳卒中などの発症時の対処法や予防法から病状が落ち着いた後の過ごし方まで取り上げてきました。最近では、脳卒中や認知症の予防とそのリハビリテーションの有効性について、また高齢者の在宅での過ごし方について取り上げています。
のぞみの会を通じ、患者さんやそのご家族の方々をはじめ地域の皆さまの、“健康で生きがいのある暮らし”に貢献できるよう取り組んで参ります。
「神経セミナー」は、平成元年に高尾病院から倉敷平成病院と改名して以来、ほぼ年1回のペースで開催しています。当時すでに超高齢化時代を迎えていた我が国にあって、医療福祉に携わる我々が神経疾患を理解していないことは、医療福祉を提供するにあたって充分な対応ができなくなってきていました。また「救急から在宅まで一貫した医療の提供」を理念とする当院にとって、安心して在宅療養をしていただける環境の整備、急性期の医療体制の確立が必要でした。これらは地域医療関係者の方々や患者さんのご家族のご協力なしには実現できません。このため、医師だけでなく、地域で医療・福祉に関係する多くの方々と共に学ぶ場、コミュニケーションの場として当セミナーが開催されました。
当セミナーでは、アルツハイマー病やパーキンソン病など老人性の神経疾患について取り上げてきました。近年では、それに加え、脳卒中リハビリテーション医療についても力を入れています。今後も当セミナーの主題である「限りなき在宅への通」に沿った話題を提供し、地域医療推進の一翼を担っていきたいと思います。
「看護セミナー」は時流に則ったテーマで、看護のあり方・情報提供の場として、院内職員研修はもとより地域の医療機関の意見交換・交流の場となることを目的に平成元年から開催・継続しています。
当セミナーのテーマは、急性期医療から在宅までの看護・ケアや病院経営の一翼としての看護など多岐にわたっています。最新の医療情勢を含んだ看護の技術や質の向上を目的とし、タイムリーな話題を提供しています。
研究発表は、「患者さんへの医療サービスの向上を図る」「全仁会職員の個々の質的向上とチーム機能の向上を図る」「全仁会の発展に貢献する」「報告・連絡・相談の徹底を図る」を目的として平成5年から毎年行われています。
毎年、研究テーマが発表され、各部署や職種を超えたチームから演題が出され、アドバイザーにアドバイスを受けながら研究を進めていきます。研究デザイン発表、中間報告会を経て11月に本発表を行います。毎年、発表演題は30題前後に上り、優秀な演題には表彰状と賞金が授与されます。さらに優秀な演題から選りすぐって日本病院学会などで発表しています。
日々の業務の中で、研究に取り組むことは研究者にとって過度の負担を強いられます。しかし、研究に取り組むことで、日常業務を見直し改善が図られたり、新たな発見があったり、他職種との信頼関係が深まったりしています。そして何より患者さんへのサービス向上に繋がると考えます。